加藤芳太郎教授、加藤一明先生

『会計検査研究』67号に、林正義「予算論の現在と今後」という巻頭言が掲載されている。それを少し読むと、財政学者である加藤芳太郎教授が結構重要人物として、登場する。それで、関学法学部の、私の前任者である加藤一明先生との共著があることを思い出した。調べると、2冊本があり、しかも2冊ともKindle版があり、現在も利用可能になっていることを知った。

上の、『現代の地方自治』のあとがきには、

昨年(1972年)のはじめ、たまたま筆者ら二人が集まったとき、地方白治体やそこで働く公務員の直面するいろいろな問題について話がはずんだ。そこから、これまでいくつかの自治体を調査してきたことをもとにし、自治体の運営を中心にして一冊の本をまとめてみようということになった。従来、地方自治に関し多くの書物が刊行されてきたことを知らぬわけではないが、それらは地方自治に関する法律の特定の解釈や制度の解説等を中心としたものであった。筆者らがささやかながら本書で試みたのは、自治体の運営に即した説明と、若干の問題点の提示である。今日地方自治体が直面している課題、あるいはそこで働く職員が日常痛感している諸問題に、本書が幾分なりと答えられるならば幸いである。」

とあるらしい。

下の『現代の地方財政』

今日最も必要と思われる地方財政にかんする本は、地方自治体の財政運営にとって実践的指針ともなるべき手引書である。これまで世に出た地方財政にかんする著作は(中略)は地方財政を個々の自治体の運営に着目することなく全国的規模でとらえ、動向を一般的に分析したものばかりであった。このため身ぢかな政府である地方自治体の財政運営を具体的に知りたいと思う住民や、何らかの改革を念願する住民運動の人々、また自治体内部にいながら財政担当課を中心とした財政運営のヴェールにさえぎられてきた庁内職員たち、また地方財政運営の研究をこころざす人々にとって、事実を知り、分析し、評価し、さらに改革を行なうために、役立つ本は一冊もなかったといえる。これは実に驚くべきことである。本書はまさにこれらの人々の要望にこたえることを目的として書かれた(その意図がどれだけ達成されているかは読者の判断にまつほかないが)。」

というのがはじめにあるらしい(いずれもアマゾンより)。こちらは1975年発刊の書物である。二人とも、林正義教授のいう、地方の現場でのフィールドワークが得意だったようである。

このような1970年代の書物が、Kindleで利用可能なのは非常にありがたいことである。東京大学出版会、えらい!