学期末に、ご恵投のお礼申し上げます。

ようやく春学期が終わりました。諸事情で追われています。しかも子どもも小さくて遊んでくれ、遊んでくれと。ぶっ倒れないようにしないといけません。いつくか本もご恵投頂いていますが、なかなか紹介もお礼も申し上げられません。どうもすみません。さらに特オチもありそうで、又の機会に。  
順不同に、

現代日本の政治: 持続と変化

現代日本の政治: 持続と変化

地方分権の国際比較―その原因と中央地方間の権力関係の変化

地方分権の国際比較―その原因と中央地方間の権力関係の変化

戦後自治の政策・制度事典

戦後自治の政策・制度事典

「憲法改正」の比較政治学

「憲法改正」の比較政治学

ここから怒涛の西川賢さん作で
分極化するアメリカとその起源 - 共和党中道路線の盛衰

分極化するアメリカとその起源 - 共和党中道路線の盛衰

ポスト・オバマのアメリカ

ポスト・オバマのアメリカ

讃州へ播州へ、What a week!!

先週はたいへん多忙な一週間でした。月曜日に教授会の開催、火曜日に指導していた院生を含む口頭試問2人。なんとか無事に修士課程修了となります。

水曜日からは、以前指導していた院生が現在働いている中讃広域行政事務組合を訪問させていただき、広域行政についてインタビュー調査。大変勉強になりました。お話を聞かせていただいた関係者の皆さん、どうもありがとうございました。もと院生も元気に働いているようで、よかった、よかった。

で、金曜日は大学評議員会に出席。さらに土曜日と日曜日は、恒例の雪下ろし&活性化のフィールドワーク@宍粟市に学生たちと行ってきました。こちらはどちらかというと学生たちが頑張ってくれました。これは今年でもう5年め。今後も続けていきたいと思います。最初の3年間については、ここにも記録があります。

ついでに月曜日にも企業法務関係の連携のため、企業訪問@中之島、火曜日に再び教授会で疲れました。さて、いよいよ執筆に戻ります。

加茂利男先生がらみの2冊

ローカル・ガバナンスとデモクラシー:地方自治の新たなかたち

ローカル・ガバナンスとデモクラシー:地方自治の新たなかたち

縮小都市の政治学

縮小都市の政治学

加茂利男さんに関係する本を2冊いただきました。
桑原武志さん、および後者の著者の皆さんありがとうございます。
それぞれが、テーマに沿ったまとまりのある著作となっています。

本日の書物紹介

日本資本主義の大転換

日本資本主義の大転換

新川敏光先生が監訳。千田さん、安さん、加藤さんが訳に参加されています。
企業家としての国家 -イノベーション力で官は民に劣るという神話-

企業家としての国家 -イノベーション力で官は民に劣るという神話-

第5章国家の力で実現したiPhone、面白そう。
人口減少時代の住宅政策

人口減少時代の住宅政策

空き家に関心を持つゼミ生が2人いるので。1人はもう卒業ですが。
立地ウォーズ―企業・地域の成長戦略と「場所のチカラ」

立地ウォーズ―企業・地域の成長戦略と「場所のチカラ」

改定で、神戸の栄町と大阪の中崎町を大幅に追記、ということ。どちらもゼミ生が目をつけていた地域です。
発展する地域 衰退する地域: 地域が自立するための経済学 (ちくま学芸文庫)

発展する地域 衰退する地域: 地域が自立するための経済学 (ちくま学芸文庫)

砂原さんに教えていただきました。

地方自治・都市研究と福祉政策研究の書物を紹介

さらに、ご恵投いただいた本のお礼とご紹介。

稲垣浩さんから頂きました。方法論・アプローチの上でも、研究対象の上でも、私の現在の研究に大いに関係する著作です。

翻訳者の石見豊さんから頂きました。それからヒジノケン・ビクター・レオナードさんからもご挨拶いただきました。分権化、民主主義について考える上で大変参考になります。
日本のローカルデモクラシー

日本のローカルデモクラシー

私自身も分権の意味について、『法と政治』の
「能力ある地方政府による総合行政体制」
で考えました。論文名をクリックしてもらえれば、ダウンロードもできます。

日頃お世話になっている佐藤満さんから頂きました。事例として、確定拠出年金法臓器移植法介護保険法などが研究の対象となっています。福祉国家研究からも抑えておきたい書物です。

厚生労働省の政策過程分析

厚生労働省の政策過程分析

最後に、もう一人お世話になっている真渕勝さんから頂きました。新しいスタイルの、知的好奇心をくすぐられる研究です。
風格の地方都市

風格の地方都市

レヴァイアサン、財務省と政治、日本銀行と政治

1)レヴァイアサンの最新刊を入手。
なんといっても興味深いのは、前回の書評に対する、われらが久米先生のレスポンス。

2)新刊のこの本は、われらが上川先生の下の本の隣に並べるとちょうどいいようになっている。

日本銀行と政治-金融政策決定の軌跡 (中公新書)

日本銀行と政治-金融政策決定の軌跡 (中公新書)

「原因の効果」effects-of-causesと、「結果の理由」causes-of-effects。

社会科学のパラダイム論争: 2つの文化の物語

社会科学のパラダイム論争: 2つの文化の物語

 本書も、翻訳者の方からご恵投いただきました。ありがとうございます。本書の51ページには

 定量的研究者と定性的研究者がどちらも関心を寄せるのは「何がYの原因なのか」という一般的な問いに答えることである。だが、その問いは異なる形へと言い換えられる。定量的研究者は「原因の効果」アプローチを用いて、問いを「母集団においてXはYにどの程度の平均効果を与えるのかという形へと言い換える。(中略)これに対して、定性的研究者は、「結果の理由」アプローチを用いて、問いを「単一あるいは複数の特定事例において、Yを説明するXsは何か」という形へと言い換えることが多い。(p.51)

 「原因の効果」とはeffects-of-causes の訳であり、「結果の理由」とはcauses-of-effects の訳である。英語では、うまい具合に言葉をひっくり返したものになっているが、訳文はわかりやすさを優先したのであろう、違う言い方となっている。実際にそのほうがわかりやすくなっている。この点、翻訳の苦労が目に浮かぶ。

 さらにわかりやすく言えば、前者は因果効果の分析であり、後者は因果理由の分析とも言えるかもしれない。

 定量的分析は因果効果を測定しようとする。先日の同志社大学の研究会では、こちらの研究のスタイルを大阪大学の松林准教授がわかりやすく説明してくれた。彼らにとっては、average treatment effect (ATE) をどれだけセレクション・バイアスなく測ることができるかが勝負になっている。まさに平均効果の測定である。

 これに対して、後者の場合は、東京大学前田健太郎准教授が、「事例研究の発見的作用」『法学会雑誌』第54巻1号(2013年)で明らかにしているように、それまで誰も考えたこともないような新しい答えを提示することができるかが勝負となっている。

 このように、同じく『原因を推論する』(久米育男早稲田大学教授)といっても、2つの問いと方法がリンクする形で存在しているのである。『社会科学のパラダイム論争』は、それを2つの文化といっている。A Tale of Two Cultures というのが原題である。